物流コストとは、物流業務にかかる費用のことを指す言葉です。この物流コストには、荷物の輸送費だけでなく、保管費や包装費といったさまざまな費用が含まれています。これらの具体的な内訳を把握することで、適切な物流コストを維持するための知識が得られるでしょう。
このコラムでは、物流コストの意味を述べたうえで、物流コストにおける具体的な内訳を細かく説明していきます。読了後は、物流コストに関する基本的な情報が身に付くはずです。物流コストの内訳がわからない方や、業種を問わず物流の基礎について詳しく学びたい方は、ぜひ今回の記事を最後までお読みください。
目次
物流コストとは?
まず、物流コストの意味について簡単に説明していきます。物流コストとは、「物流業務にかかる費用全般」を表す言葉のことです。
荷物を運ぶためには、輸送費だけでなく、関連業務を実施するスタッフの人件費や、荷物を梱包する際の包装費なども支払わなければなりません。ですので、物流コストにはさまざまな種類や細かな内訳が存在するのです。
なお、物流コストは「社内物流費(社内物流コスト、自家物流費)」と「支払物流費(支払物流コスト)」という2つの種類に分類することが可能です。
社内物流費:社内で発生する物流コスト
支払物流費:業者に支払う物流コスト
たとえば、社内スタッフに支払う賃金や自社で保有するトラックの維持費などは、社内物流費とみなされます。これに対して、輸送や倉庫の管理を外部業者にアウトソーシングしている場合は、その費用が支払物流費に含まれるでしょう。
つまり、「社内で業務が完了するか・社外に業務を委託しているか」が2つにおける判断基準になるということです。
物流コストの内訳とは?

続いて、物流コストにおける具体的な内訳の一覧を見ていきましょう。物流コストにはさまざまな種類がありますが、今回は、その中でも代表的な6つのコストについて解説していきます。
- 輸送費
- 保管費
- 人件費
- 荷役費
- 包装費
- IT関連費
輸送費:荷物を輸送する際の費用
輸送費は、荷物を輸送するにあたって必要となる費用の総称です。下記のように、荷物の輸送を運送業者に依頼するケースと、自社で輸送をまかなうケースで種類が分けられます。
- 運送業者に支払う費用(陸路・航路・空路など)
- 自社で運送する際にかかる燃料費(ガソリン、軽油)、車両の維持費、高速道路料金など
輸送費は、物流コストの中でも大きな割合を占めていることで知られています。また、どの運送業者を選ぶか、どのような運送方法を選ぶかによって金額も変動しやすいため、輸送費は物流コストの総額を決定づける費用だといえるでしょう。
保管費:荷物を保管するための費用
保管費は、荷物を一定期間保管するために支払う費用のことです。この保管費を細かく区分すると、下記のような種類に分けることができるでしょう。
- 荷物を保管しておく外部倉庫の賃料
- 自社倉庫を使用する際の光熱費
- 火災保険料
- 倉庫設備のメンテナンス費用
なお、荷物を保管するにあたって、冷凍倉庫や冷蔵倉庫といった温度管理設備が整った倉庫が必須になるケースも少なくありません。この際にかかる費用も保管費に含まれるので、関連知識を得ておくと良いでしょう。以下の記事では、冷凍倉庫・冷蔵倉庫の温度帯や取扱商品の例を取り上げています。
物流業務において、荷物を出荷する前の保管場所は欠かせません。そのため、保管費も物流コストの中で比較的比重が大きくなります。そして、倉庫の面積が異なると費用も大きく変わるので、各社の状況によって金額に違いが出ることも覚えておきましょう。
人件費:スタッフに関する費用
物流業務に従事する人員にかかる費用を、人件費といいます。これに該当するスタッフにはいくつかの種類があるため、下記に例をまとめました。
- 荷物を運搬するドライバー
- 倉庫での業務を担当する作業員
- 企画・管理・営業など、その他の物流業務を行っているスタッフ
こういった人件費には、スタッフに支払われる給与のほか、人材を育成するための教育費や採用にかかるコストも含まれています。物流業務を実施するには、その業務を担当するスタッフを一定数手配しなければならないので、人件費は重要度が高い費用の一つでもあります。
荷役費:荷役の際に必要な費用
荷役(荷物の入庫から出庫までにかかる作業)に関わる費用のことを、荷役費と呼びます。荷役では「荷物の積み込み、ピッキング、仕分け」などの業務が行われるため、以下のような費用が荷役費の例に挙げられます。
- フォークリフトの操作にかかる費用
- その他の機器を維持するための費用
- 荷役作業をアウトソーシングする際の費用
荷役をアウトソーシングする際は、具体的にどのようなサービスを外注するか選定することが求められます。
「食品物流のアウトソーシングとは? 導入メリットから選び方まで解説!」では食品物流のアウトソーシングにおけるサービス内容について詳しく解説しています。内容を把握することで、物流コストの理解がさらに深まるので、本記事とあわせてご確認ください。
包装費:荷物の梱包に関する費用
包装費は、荷物を梱包するにあたって必要になる費用のことです。荷物を安全な状態で顧客に届けるためには、下記をはじめとした費用が求められます。
- 梱包用の段ボールや緩衝材の購入費用
- 梱包を実施する専用機械の維持費
包装費は、物流コスト全体の比率で見るとそこまで高くありません。しかし、梱包は荷物の輸送に必要なものであるので、包装費は荷物を顧客に届けるにあたって欠かせない費用の一つです。
IT関連費:システムやソフトにまつわる費用
IT関連費とは、ITシステムや関連ソフトを利用するためにかかる費用のことを指します。主な例は、以下の通りです。
- 配送管理システム(TMS)・倉庫管理システム(WMS)といったITシステムの導入
- 費用 物流の効率化に関するソフトウェアのサブスクリプション費用
現在物流業界では、IT技術を活用したDX化が推進されています。というのも、業界内の人手不足を解決するために、業務効率化が重要視されているからです。よって、こういったIT関連費が今後増えていくことが予想できるでしょう。
見落としがちな物流コストとは?

物流コストの中でも代表的な内訳についてそれぞれ説明してきましたが、重要な物流コストはこのほかにもいくつか存在します。この段落では、見落としがちな物流コストを2つ紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。
- クレーム処理費
- エコ・労働環境への対処費
クレーム処理費:クレーム処理にかかる費用
物流業務の中で想定外のアクシデントが発生した際、クレーム処理費が発生することも忘れてはいけません。なぜならここで的確な対応をとることで、顧客との信頼関係を構築することができるからです。
- 異なる荷物を配送してしまった際の費用
- 破損した製品を配送してしまった際の費用
上記の場合、返品や新しい製品の発送にコストがかかってしまいます。もしクレーム処理をアウトソーシングする場合は、その費用も別途かさむことになるでしょう。しかし、クレーム処理費は顧客からの評判悪化を防ぐために必要不可欠なコストなので、クレーム処理費の存在を考慮しておくことが大切です。
エコ・労働環境への対処費:エコ施策や労働環境整備に関する費用
エコ・労働環境への対処費は、企業のイメージアップやスタッフのモチベーション向上につながる重要な費用です。よって、これらも物流コストに含めておく必要があります。
- エコカーへの切り替えをはじめとしたエコ施策に対応するための費用
- スタッフ用休憩場所の設置や新しい福利厚生の導入など、労働環境を整えるための費用
このような費用を捻出することで、「時代に合った働きやすい企業であると社外に伝えることができ、優秀な人材が集まりやすくなる」という面もあります。エコ・労働環境への対処費は企業に多くの利点をもたらすので、これらもコストの計算に含めておきましょう。
物流コストをカットするには?

ここまで、「物流コストはいったいどういうものなのか」「物流コストの細かな内訳には何が含まれるのか」について見てきました。 ここで気になるのは、「物流コストをカットしてビジネスを適正化するには何が必要なのか」ということではないでしょうか。そういった疑問に答えるために、この段落では物流コストをカットする対策について解説していきます。
- DX化を推進する
- 業者と価格交渉を行う
①DX化を推進する
DX化の推進は物流業務の効率化に役立ち、最終的にコスト削減が実現できるでしょう。DX化の具体的な方法としては、以下の取り組みが例に挙げられます。
人力ではなく、ITシステムの機能を活用した倉庫管理に変更する
荷物の仕分けや梱包作業を自動化する
こういった施策を取り入れるためには、まず現在の物流業務に何があるかを調査・チェックすることがポイントです。DX化が可能な業務をそこからピックアップし、少しずつ関連システムの導入・改善を進めていきましょう。
なぜなら、多くの業務を一気にDX化してしまうと、現場がシステムを使いこなせなくなるというリスクがあるからです。
②業者と価格交渉を行う
外部業者に業務をアウトソーシングしている場合は、その費用を現状よりも安くできるように交渉するのも一つの方法です。荷役をはじめとした物流業務のコストをカットすることができれば、物流コスト全体の総額も削減できるでしょう。 なお、価格交渉の際は、取引先にとっても利点が感じられるような内容を意識することが重要です。「価格を見直す代わりに、長期契約を結ぶ」「2社で新規事業をスタートさせる」など、価格交渉の価値があると業者に感じさせるような工夫が必要になります。そうすることで、交渉がよりスムーズに進むでしょう。
内訳を理解して物流コスト削減につなげよう
物流コストには、「輸送費」「保管費」「人件費」「荷役費」「包装費」などさまざまな種類の費用が存在します。これらについて正確な知識を得ることで自社の状況が的確に把握できるようになるため、無駄なコストもカットしやすくなるでしょう。
もし物流業務を自社内で実施している場合は、アウトソーシングに移行することも一つのアイデアです。アウトソーシングすることでより効率的に業務が進められるようになり、結果的にコストカットにつながります。複数の業者を比較検討したうえで、よりコスト削減に効果がありそうな企業を選びましょう。
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